林達次オラトリオシリーズ公演記録

音楽総監・指揮:林達次

【第1回】 1986年2月23日 会場:ザ・シンフォニーホール
J.S.バッハ:「マタイ受難曲」
独唱
エヴァンゲリスト:鈴木寛一
イエス:蔵田裕行
ソプラノ:田中千恵子
アルト:藤川賀代子
女中1:榎本八重子
女中2:森田佳子
ユダ:谷田正樹
ペテロ:尾形光雄
大祭司:新田英開
ピラト:灘井誠
ピラトの妻:野村恵子
証人1:菊池敏子
証人2:荘雅弘
祭司長1:山口はやと
祭司長2:石崎宏男
朗読
浦山弘三
合唱指導
榎本利彦
松前幸子
ヴィオラ・ダ・ガンバ
平尾雅子
オルガン
太宰まり
チェンバロ
春山操
合唱
京都・大阪ゲヴァントハウス合唱団
同志社大学学生混声合唱団・CCD
大阪すみよし少年少女少女合唱団
菅弦楽
大阪フィルハーモニー交響楽団

【第2回】 1987年9月13日 会場:ザ・シンフォニーホール
J.S.バッハ:「ミサ曲」<ロ短調>
独唱
ソプラノ:溝口眞知子
メゾ・ソプラノ:三井ツヤ子
アルト:荒田祐子
テノール:若本明志
バリトン:木村俊光
管弦楽
大阪チェムパーオーケストラ
合唱
京都・大阪ゲヴァントハウス合唱団
オルガン
住山玖爾子

【第3回】 1988年2月28日 会場:ザ・シンフォニーホール
ブラームス:「アルト・ラプソディ」/「ドイツ・レクイエム」
独唱
アルト:藤川賀代子(アルト・ラプソディ)
ソプラノ:大西多恵(ドイツ・レクイエム)
バリトン:草野道廣(ドイツ・レクイエム)
管弦楽
関西フィルハーモニー管弦楽団
合唱
京都・大阪ゲヴァントハウス合唱団
同志社大学学生混声合唱団・CCD
オルガン
太宰まり

【第4回】 1990年3月4日 会場:ザ・シンフォニーホール
能:「隅田川」/ B.ブリテン:教会劇「力一リュー・リバー」
演能
泉泰孝、福王茂十郎、塩田重喜、山田龍之介、他
出演
細川維、米田哲二、草野道廣、岡田征土郎、浦山弘三、木川田誠、
美甘眞理子、他
管弦楽
オラトリオシリーズアンサンプル
合唱
京都・大阪ゲヴァントハウス合唱団

【第5回】 1991年3月30日 会場:ザ・シンフォニーホール
J.S.バッハ:「ヨハネ受難曲」
独唱
エヴァンゲリスト:波多野均
イエス:山本正三
ソプラノ:田中千恵子
アルト:岩本敏子
テノール:細川維
バリトン:米田哲二
ペテロ:山口はやと
ピラト:灘井誠
侍女:中田由美
従僕:宮本佳計
聖書朗読
浦山弘三
管弦楽
オラトリオシリーズ管弦楽団
合唱
京都・大阪ゲヴァントハウス合唱団

【英国特別公演】 1991年6月8・9・11日 (第43回オールドバラ音楽祭開幕公演)
能:「隅田川」/ B.ブリテン:教会劇「力一リュー・リバー」
演能
泉泰孝、福王茂十郎、村瀬純、山田龍之介、他
出演
細川維、米田哲二、草野道廣、灘井誠、他
管弦楽
オールドパラ祝祭管弦楽団
合唱
京都・大阪ゲヴァントハウス合唱団
会場
スネイプモルティングホール、プラッドフォード大聖堂

【第6回】 1991年3月30日 会場:ザ・シンフォニーホール
J.ハイドン:オラトリオ「四季」
独唱
ソプラノ:後藤由美子
テノール:波多野均
バリトン:米田哲二
プレトーク
日下部吉彦
ナレーション
浦山弘三
管弦楽
大阪センチュリー交響楽団
合唱
京都・大阪ゲヴァントハウス合唱団
グリーンエコー有志
チェンバロ
中野寛

【第7回】 1993年7月18日 会場:ザ・シンフォニーホール
J.H.ヘンデル:オラトリオ「メサイア」
独唱
ソプラノ:溝口眞知子
アルト:藤川賀代子
テノール:波多野均
バス:田中勉
管弦楽
大阪センチュリー交響楽団
合唱
京都・大阪ゲヴァントハウス合唱団
オルガン
住山玖爾子   
チェンバロ
中野寛

【第8回】 1994年8月2日 会場:ザ・シンフォニーホール
原嘉壽子:オラトリオ「マリアの生涯」(初演)
独唱
マリア:田中千恵子
イエス:川下登
天使ガブリエル:瀬野光子
少年イエス:萩原裕子
ヨゼフ:岡田征士郎
エリザベート、マグダラのマリア:藤川賀代子
ナインの娼婦:岩本敏子
ヴェロニカ:野村恵子
病める女:鈴木捺香子
ヘロデ王、祭司長:阪上和夫
シメオン:草野道廣
ピラト、百夫長:灘井誠
召使い:萬田一樹
弟子:萩原寛明
男1:山口はやと
男2:佐藤ひろゆき
男3:松浦洋之
合唱
京都・大阪ゲヴァントハウス合唱団
女声合唱団「すずの木」
管弦楽
大阪センチュリー交響楽団
オルガン
住山玖爾子   
チェレスタ
中野寛
プレトーク
日下部吉彦

【第9回】 1995年10月26日 会場:ザ・シンフォニーホール
F.シューベルト:「ミサ曲」第2番<卜長調>
W.A.モーツァルト):「レクイエム」
独唱(シューベルト)
ソプラノ:大西多恵子
テノール:宮本佳計
バス:灘井誠
独唱(モーツァルト)
ソプラノ:樋本栄
アルト:藤川賀代子
テノール:小餅谷哲男
バス:田中勉
管弦楽
大阪センチュリー交響楽団
合唱
京都・大阪ゲヴァントハウス合唱団

【第10回】 1996年9月8日 会場:ザ・シンフォニーホール
J.ハイドン:オラトリオ「天地創造」
独唱
天使ガブリエル/エヴァ(ソプラノ):釜洞祐子
天使ラファエル(バス):田中純
天使ウリエル(テノール):波多野均
アダム(バス):櫻井直樹
アルト:荒田祐子
管弦楽
大阪センチュリー交響楽団
合唱
京都・大阪ゲヴァントハウス合唱団
京都バッハ合唱団

≪ 林達次 オラトリオ シリーズ ≫東京公演

ブラームス 「ドイツ・レクイエム」 作品45
シューベルト 「ミサ曲」 第2番 ト長調 D.167
シューベルト 「オッフェルトリウム」 変ロ長調 D.963
指揮・音楽総監督 : 林 達次
独唱 :
(レクイエム)
ソプラノ 菅 英三子/バリトン 三原 剛
(ミサ曲)
ソプラノ 野村 恵子/テノール 鈴木 寛一/バス 灘井 誠
合唱:
京都・大阪ゲヴァントハウス合唱団
同志社混声合唱団<東京>
管弦楽: 東京ニューシティ管弦楽団
オルガン: 住山 玖爾子
2003年9月15日 開場 午後1時30分 開演 午後2時 会場 すみだトリフォニーホール
入場料 全席指定 S¥6000/A¥5000/B¥4000/S・シルバー¥4500
主催     京都・大阪ゲヴァントハウス合唱団
後援     日墺文化協会、京都女子学園同窓会藤陵会、社団法人神戸女学院教育文化振興めぐみ会
マネージメント: 梶本音楽事務所

ごあいさつ
 ≪林達次オラトリオシリーズ≫として今回はブラームスのドイツレクイエムとシュー ベルトのミサ曲ト長調およびオッフェルトリウムを指揮することになりました。 オッフェルトリウムはミサ曲ト長調のなかでクレドの後に演奏いたします。 独唱にはブラームスが菅英三子、三原剛、シューベルトが野村恵子。波多野均、 灘井誠、オーケストラが東京ニューシティ管弦楽団、合唱には京都・大阪ゲヴァ ントハウス合唱団と同志社混声合唱団<東京>、以上の顔ぶれで演奏いたします。 ゲヴァントハウス合唱団は私が26年前に創設した合唱団で当初京都織物会館を フランチャイズとしたことからゲヴァントハウスと命名しました。97年3月にメンデ ルスゾーン協会よりライプツィッヒのゲバントハウスに正式に招かれ聖トーマス教会 で演奏して以来海外にてもその名称を正式なものとしています。同志社混声合唱団 <東京>は私が40才代の時指導した同志社学生混声合唱団CCDの当時のメンバーが中心で、 今回の曲目やマタイ受難曲を心のよりどころとしているところから演奏に加わっても らいました。早いもので来年は80才になります。肉体なおとろえを否めないこのごろ ではありますが、師であるフェルディナンド・グロスマン氏から受け継いだ 「愛のある音楽」を是非皆様にお届けしたいと思います。

音楽総監督・指揮 林達次
ごあいさつ
 此の度、大勢の皆様のご支援を頂き、京都・大阪ゲヴァントハウス合唱団の東京公演が実現しました事を心より御礼申し上げます。 又、御協演の独唱者の皆様や東京ニューシティー管弦楽団の皆様にも心より感謝しております。曲目のシューベルトとブラームスの作品は私の半世紀以上の音楽生活の中で最も敬愛しているものであります。
 さて、先日来いろいろ資料を研究している間に非常に興味深い発見したので皆様にも御披露いたします。 同志社を創立された新島襄先生が1873年(明治6年)にドイツ、ヴィスバーデンでこのブラームスのドイツレクイエムを聞かれたという事が判明しました。 京都の同志社大学の社史資料室にその時のプログラムが保存されています。1873年というとブラームスはまだ健在であり、又、当時ドイツに行った日本人もごく少数であった事を思うと、日本人としてこの曲をはじめて聞いたのが新島先生であろうかと推察されます。 先生がこの曲にどんな感銘をうけられたかはわかりませんが、先生が長年愛用の聖書のページの中にこのプログラムがあったという事は興味深い事実です。 私共同志社に学んだ人間として、誠に不思議な縁を思い皆様にも御披露申し上げた次第です。

音楽総監督・指揮 林達次
推薦のことば/曲目解説
 《ドイツ・レクイエム》は、聖書の深い読み手であったブラームスが、心に響く名句を自ら取り出して構成した 「人間のため」(ブラームス)の宗教音楽である。全曲を貫くテーマは「悩みつつ生きる人々への慰め」であるが、 そこに林達次自身の音楽への姿勢と重なりあうものを感じるのは、私だけだろうか。林はそれと組み合わせて、 こよなく愛するシューベルト青年期のミサ曲を、長年手塩にかけてきた合唱団とともに演奏する。 そこに最晩年の名曲《オッフェルトリウム》が挿入されるのは、宗教的なメッセージを重んじればこそである。
 シューベルトのミサ曲第2番ト長調D167は、シューベルト18歳の1815年に作曲された。ミサ曲の作曲というと大ごとのようであるが、ウィーンの寄宿学校で聖歌隊員を務め、カトリックのミサ曲伝統に通じていたシューベルトにとっては、ごく自然な行為であったことだろう。 オリジナルの編成は、独唱、合唱、弦合奏にオルガンという、簡素なものである(今夜はそこに、シューベルトの兄が管・打楽器を加えた版によって演奏される)。
 それにしても、このト長調ミサ曲の美しさはどうだろうか。〈キリエ〉(憐れみの祈り)から〈グローリア〉(栄光の賛歌)、〈クレド〉(信仰告白)、〈サンクトゥス〉(感謝の賛歌)を経て〈アニュス・デイ〉(平和の祈り)へと、曲は抒情的で親密な情感を漂わせつつ進む。 シューベルトのもっとも幸福な音楽のひとつがここにあるように、私には思われる。
 本日は、〈クレド〉と〈サンクトゥス〉の間に(礼拝においてはパンとぶどう酒が祭壇に捧げられるくだりで)、テノール独唱と合唱のためのオッフェルトリウム〔奉献唱〕〈私の祈りの声をお聞きください〉D963が歌われる。 これは、1828年10月の完成として伝えられるシューベルト最後の作品のひとつで。変幻自在の作風をみせた力作である。
 以上はラテン語によるカトリックの宗教音楽であるが、後半に演奏されるブラームスの《ドイツ・レクイエム》は、プロテスタントがドイツ語で書いた宗教音楽、教会でなくコンサートホール用に作られた、全人類のための追悼音楽である。ブラームスはこの作品を、恩師のシューマン、 愛する母、対オーストリア戦争の犠牲者のために思い立った。曲がいくつかの段階を経て完成されたのは、1860年代後半、ウィーンにおいてだった。
 ブラームスは忠実というよりは自由な信徒であり、聖書の深い読み手だった。《ドイツ・レクイエム》は、ルター訳ドイツ語聖書からブラームス自身が愛する章句を選び出し、それを魂の慰めとなるべく構成したものである。ソプラノ独唱とバリトン独唱、大編成の管弦楽が、 そのために用いられている。全7曲の一貫したテーマは、人生の空しさに直面し、悩みつつ生きる人々へに対する慰めの探究である。その答を出すことは、30代前半のブラームスにとって容易でなかったようにも感じられるが、そうした問題への真摯な取り組みにこそ、この作品の真価を見るべきであろう。 「今から後、主において死ぬ人は幸いである」という最後の静かな合唱に、ブラームスの願いは結晶する。

国立音楽大学教授 礒山雅

菅 英三子[ソプラノ]
京都市立芸術大学、ウィーン国立音楽大学をともに首席で卒業。佐々木成子、小室彰子、R.ハンスマンに師事。 フランシスコ・ビニャス国際声楽コンクールコロラトゥーラ・ソプラノ賞、アルフレード・クラウス国際 声楽コンクール第2位、国際新進オペラ歌手コンクール第1位、藤沢オペラ・コンクール第1位および 福永陽一郎賞受賞。また出光音楽賞、青山音楽賞、芸術祭賞新人賞、新日鐵音楽賞、宮城県芸術選奨等多数の栄誉に輝く。ドイツ、オーストリア、アメリカ、日本各地において多くの宗教曲の演奏会のソリストをつとめるとともに、オペラ公演に出演している。現在、京都市立 芸術大学助教授、宮城学院女子大学非常勤講師。日本キリスト教団仙台北教会会員。
三原 剛[バリトン]
大阪芸術大学卒業。卒業時に演奏学科長賞受賞。91年第22回日伊声楽コンコルソ金賞受賞。92年日本音楽 コンクール第1位。翌93年には第4回五島記念文化賞オペラ新人賞を受賞し、ドイツのケルンに留学。ベル リン、ライプツィヒでバッハのカンタータ演奏会に出演、ベルリナー・ポスト紙上にて絶賛される。また95年にはドイツ・ハーゲン歌劇場でヴェルディ「トロヴァトーレ」のルーナ伯爵を演じ、大成功を収めた。国内 でもバッハ、ヘンデル等バロック期の宗教音楽を中心に多数の演奏会に出演。さらに主要なオーケストラと 共演。着実にレパートリーを広げている。
野村 恵子[ソプラノ]
愛知県立芸術大学音楽学部声楽科卒業。京都・大阪ゲヴァントハウス合唱団海外公演に6回参加し、シュテファン大聖堂でのソプラノソロを始め数多くのソロをつとめる。 リスト音楽院・モーツァルトテウム音楽院夏期セミナーを受講しし、アカデミーコンサートや現地の各種コンサートで好評を博す。 リサイタルを日本と海外にて行う。2002年8月ザルツブルグ音楽祭中に、ミラベル宮殿で巨匠イヨルク・デームス教授の ピアノ伴奏でリサイタルを行い好評を博す。CD・DVDを制作。神田幸子、林達次、故ローレ・フィッシャー、エリー・アメリング、イヨルク・デームスに師事。日本の歌コンクール銅賞受賞。日本シューベルト協会同人。京都ゲヴァントハウス合唱団団員。 華頂女子高校音楽科講師。
鈴木 寛一[テノール]
東京芸術大学卒業。林達次、長坂好子、アリゴ・ポーラに師事。「ドン・ジョヴァンニ」のオッターヴィオで劇的なデビューをし注目浴びる。その後70本近いオペラのレパートリーを持ち古典から現代の作品迄をそのテクニックと音楽性によって我国のオペラ界にプリモテノールとして確固たる地位を築いた。宗教音楽の分野においても不可欠の存在で、著名指揮者との共演も多く岩城宏之、小澤征爾、マタチッチ、スウィトナー、サヴァリッシュ、シュタイン、リリング、ヴィンシャーマン等のマエストロ達の指揮で歌ってる。日本初演を含めレパートリ膨大なものである。東京芸術大学教授。フェリス女学院講師。小沢塾アドヴァイザー。日光金谷ホテル音楽祭音楽監督。
灘井 誠[バリトン]
京都市立芸術大学卒業。ウィーン国立音楽大学卒業。関西二期会オペラ「マルタ」のプランケットでデビュー。 「椿姫」のジョルジョ・ジェルモンをはじめ「フィガロの結婚」の伯爵、「ジャンニスキッキ」のジャンニスキッキ、 「こうもり」のフランク等、「リゴレット」の主役では豊かな表現力と賛辞を博した。第九やオラトリオのソリスト としても活躍。リート、オラトリオだけでなく、現代曲、唱歌、童謡まで幅広いレパートリーを持つ。二期会会員。 日本シューベルト協会同人。

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